韓国、日本、そして東アジアのつながり~多様な学び実践研究フォーラムin九州④

多様な学び実践研究 フォーラム in 九州

「国境を越えて共に学ぶ・つながる~東アジアの多様な学び」分科会報告の続き。

続いて、韓国です。ゲストは、おはいおさん。韓国出身で、現在は、九州在住です。

韓国初のオルタナティブな大学「緑大学」で学んだことや、日本との行き来、そして移住・・・そんなご自身の体験から始まって、2つの国を行き来する中で見えてきたこと、これからの東アジアのつながりとは・・・というお話など、ざっくばらんに語ってくれました。

少し長くなりますが、とても共感するところが多かったので、シェアします。


「いろんなことをしています。代替的な文化、人、空間、何でも継ぐ人、オンドル・かまど職人・・・だから、聞く人を見て、その人に合わせて、“私はこういうことをしています”と言っています。」

「これから熊本でフリースクールを始めますが、どっぷりオルタナティブ教育の世界に入っているわけではないし、韓国の教育事情や法制度のことを聞きたいということなら、あまり詳しくないけれど、ちょうど、韓国の代案教育連帯の方が会場にいらしているので、あとでそちらに質問してください。(本当に、会場に韓国の方がいらしていました!)
でも、東アジアのつながりというテーマでなら、話せます。」

「小中高校までは、田舎町の学校でのびのびと過ごしました。ニュースで、受験に挫折して学生さんが自殺したという話を聞いても、ピンとこなくて。学校行くのは楽しかったし。勉強はしないで、授業は寝てましたけど。」

「都会にあこがれもあったし、ソウルの大学へ。ところが、ソウルという場所と大学という場所に挫折して、心も体も壊れて、ある意味不登校になってしまいました。
がんばって2年くらいソウルにいたけど、やっぱり無理で。
教育を受けて、大学を卒業したら、会社に入って・・・みたいな道しかないな、と思っていたので、そこから外れてしまった自分は、先がないと思ってしまいました。」

「それから、世界を旅しようかな、と思っているときに、韓国初のオルタナティブな大学「緑大学」の1期生募集を見て、入学しました。
小中高校のオルタナティブスクールはあったけど、大学は普通の大学しかなかったので、じゃあ新しい場を作ろうというものでした。
暮らし、自給自足、医学、社会運動、精神的なこと・・・いろんなことを学びました。年齢もいろいろ。
大変だったけど、面白かった。大学で学ぶカリキュラムも、大学の予算も、毎日食べるものも、スタッフと学生が一緒になって決めて作ってきました。」

「緑大学には、新しい答えを見つけようとして入ったんだけど、問題だらけで、ぶつかってケンカもしました。真面目だからこそ、自分の価値観が正しいと。韓国の社会問題がそこに表れていました。
でも、そこに行ったことで人生救われたな、と思いました。そこで7年間過ごしました。」

「2009年に、WALK9という取り組みのスタッフをしました。100日間かけて、日本と韓国の若者で、韓国全土を歩きながら一緒に過ごし、戦争や平和、原発のことなどを考えるという旅です。
そこで日本と縁ができて、行ったり来たりしているうちに、今の奥さん(日本の方)と出逢って、1週間後に結婚することになって、2011年から日本に住んでいます。」

「今も、日本と韓国を行き来しています。フリースクールのツアーもやっています。
韓国に行くと、“日本は、何で?”と聞かれることが多い。例えば、地震があって、原爆もあったのに、なんで原発が動いているの?とか。
逆に、日本に来ると、“韓国は、何で?”と聞かれる。
なんでそうなのかというのを、深く考えないといけない。」

「オルタナティブ教育に関しても、はじめるのは日本が早いけれど、韓国は、形にするスピードが速い。日本から学んで、どんどん形にしている。数もすごく多い。でも、それは単にスピードの問題。それぞれに合ったやり方があるから。」

「教育は、国の哲学。台湾、韓国、日本、3つの国は、アメリカがモデル。アメリカになりたくて一生懸命がんばっている。豊かな経済力を持っているけれど、国の思想って何?精神性って何?日本の精神性は何かというと、みんな答えられない。」

「東アジア人の似ているところを、もっと見ていく時代じゃないかと思います。
日本語も韓国語も中国語も、言語が難しいのは、西洋みたいなイエス・ノーじゃないから。“いろいろ”とか“なかなかね”とか、言葉だけ見たらわからない。
東アジア的な思想とか感情とか精神性は、すごく似ている。」

「日本人は、歴史に興味がないし、知らない。それは、日本という国が、歴史を教えないから。
日本・韓国・中国・台湾と分かれているけれど、ユーラシア大陸の歴史を見ると、国境は次々と変化していて、中国だけでも何回も変わっている。
今は国境を分けていて、「日本人」という意識が強いけど、中国1つとっても、大きく変化している。じゃあ、中国人て何だろう?日本人ってなんだろう?」

「東アジアの教育を考えることは、自分たちのコミュニティのことだけでなく、人類の新しい文明の教育を考えることにもつながる。重い責任を持っている。
単に隣の国の言葉を学ぶというだけじゃなくて、一緒に暮らせば、言葉はなくても、お互いを分かり合える。最先端では、そういう動きも始まっている。国は違うけど、思いは同じで、大家族になることができる。」


オルタナティブ教育に関して、面白いと思ったのは、始めるのは日本が早いけれど、形にするスピードは、韓国がものすごく速いということ!日本から学んで、どんどん形にしている韓国。
だけど、それぞれの社会や人に合った形ややり方があるんだな、と思いました。日本は、スピードはゆっくりだけど、確実に変化し、形になってきている・・・そんな気がしました。

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