IDEC 2024 in 台湾 〜 International Democratic Education Conference(国際デモクラティック教育大会)とは、どんな大会か?

2024年7月20日〜28日、台湾で、IDEC(Internatuinal Democratic Education Conference) が開催されています。

(開会式の様子。写真は、IDEC2024台湾の公式Fcebookページからいただきました)

今回、私は、都合により参加はしていませんが、九州から仲間が参加して、情報を共有してもらっています。

IDEC:国際デモクラティック教育大会って、何?

IDECとは、Internatuinal Democratic Education Conferenceの略。
日本語に直訳すると、「国際デモクラティック教育大会」、でしょうか。

世界中で実践されている様々な形の教育。
日本では、オルタナティブ・スクール、フリースクール、デモクラティックスクール・・・といった言葉で表されますが、
台湾では「実験教育」という言葉で表されたりするようです。
そこに関わる人たち(学生、教育関係者、親、関心のある人たち)が、世界各国から集まってくる大会です。

この大会は、毎年、どこかの国で開催されていますが、
私は、今から10年前の2014年に韓国で開催されたときに、娘と一緒に参加していました。
(今回も、娘は参加しています)

IDEC2024in台湾が目指すもの

IDEC2024in台湾の公式サイトから、この大会の趣旨を少し解説します。
(中国語と英語からの直訳ですが、意味は伝わるのではないでしょうか?)

教育とは、学校教育が全てではない

IDEC2024の大会の趣旨について、公式サイトに以下のように書かれています。

教育は社会の根源ですが、民主主義を主張するほとんどの国では、教育は依然として「権威主義的」です。
過去の台湾でも、現在の多くの国でも、「教育」は「学校教育」と単純化されることがよくあります。
完全な教育エコシステムを構築するためには、教育に対する「学校教育」の制約を打破し、人間の価値や尊厳と社会が互いの主体であるという前提で総合的に考える必要があります。

全員参加型の教育博覧会〜対等なコミュニケーションと分かち合いを通じて

続いて、次のように書かれています。

■単なる会議ではなく、教育における革命
IDECでは、従来の教育の枠組みを捨てて、子供たちと私たち自身のために、教育の視野を探求し、共に成長します。
これは、あなたが発言し、ワークショップを主催し、イベントに参加し、世界中のパートナーとつながることができるオープンスペースです。 ​

■参加者全員が主役
単調な講義や、競争の激しいセミナーは忘れてください。
IDECはオルタナティブスクールで開催されるユニークな体験であり、平等な人間の相互作用を強調し、アイデンティティの境界を打ち破り、すべての参加者が自由に交流し、友達を作ることを可能にします。
「民主主義、持続可能性、教育、国際交流」などのテーマに関心のある5大陸全ての人に、年齢や背景に関係なく開かれています。教育に情熱を持つすべての人の参加を歓迎します。 ​

■「自由を経験していない人が、どうやったら学生を自由に導くことができるのか?」
異なる文化の友人と一緒に、対等なコミュニケーションと分かち合いを通じた、負担のないこの体験は、既存の教育の選択肢を越えた新たな展望を開き、あなたの「学ぶ」ことへの内なる鼓動を目覚めさせます。


教育について深く掘り下げてみたいですか?
教育の未来について、貴重な教育的洞察やビジョンをお持ちですか?
あなた自身、あなたの子供、またはあなたの周りの若者のために、代替の教育方法を探していますか? ​ ​ ​
IDEC2024に参加して、教育の無限の可能性を探求する旅に出ましょう。 ​

IDECの参加対象者は

■教育者
世界中の教育者とつながり、教育の真の意味を探りましょう。 ワークショップや活動を通じて、理論を実践し、教育現場での実践的応用力を身につけます。

■親
子育ての専門家と一緒に、お子さんの教育に関する新しい視点を探りましょう。
自然に浸り、地球と再びつながり、深い対話を通じて、教育を再考する旅に出かけましょう。

■学生
世界とつながるための舞台です。
世界中から集まった仲間と交流し、多様な文化を体験し、互いに学び合い、将来の視野を広げましょう。

■社会と世界に関心のある人たち
民主的な教育の深い価値と、それが世界の未来にどのように関連するかを、深く理解することができます。
IDECは、教育の多様な側面について共有し、詳細な議論を行うためのプラットフォームを提供します。

IDEC、デモクラティック教育、デモクラティックスクールについて

デモクラティックな教育世界博覧会

以下、公式サイトから直訳・引用します。

教育世界博覧会 (IDEC) は、「民主教育(デモクラティック教育)」を実践する世界中の学生、保護者、教育者、サポーター、学者、組織グループ、および民主教育に関心のある個人または団体によって、共同で運営されています。

毎年、世界の5大陸で順番に開催され、現在、オルタナティブ教育やホームスクーリングの世界で、最も影響力があり、示唆に富む、年次イベントとなっています。

この大会は、ディスカッション、ブレーンストーミング、共有を通じ、「民主教育(デモクラティック教育)」を世界各地に広めることを目指しています。

中国語では「民主教育」、英語ではdemocratic education、日本語では、そのまま「デモクラティック教育」ですかね。

とりあえずここでは、「デモクラティック教育」と訳したいと思います。

IDECの歴史

引き続き、公式サイトより。

1993年、イスラエル、オーストリア、イギリス、アメリカの4カ国の哲学者、教授、政治家がエルサレムに集まり、「多文化社会におけるデモクラティック教育」と呼ばれる会議が開かれ、デモクラティックスクールの生徒や教師も参加しました。
その後、生徒たちはハデラに2日間招待され、デモクラティック教育について議論し、自分の経験や教育についての熱い議論を交わしました。

そして、デモクラティック教育について探求し、交流し、学び続けるために、フォーラム、プラットフォーム、年次集会を構築することを決定しました。

それ以来、毎年、学校や団体が次回の大会を主催してくれるようになり、現在に至るまで続いています。

毎年続けてるって、すごいことですね。
今年の台湾は、30回目の開催になるそうです。

IDECを運営するコミュニティ

IDECは、次のように、毎年それぞれの国の主催チームが、独自な方法で運営しているそうです。

IDECは組織ではありませんが、長い年月を経て、徐々にエネルギーが集まるコミュニティ、つまり大きな家族へと成長してきました。

IDEC を開催する組織は、毎年異なり、独自の特徴を持っています。
というのも、次回の主催者が共同で決定されると、主催者は、日程、スケジュール、費用、宿泊施設から大会の形式に至るまで、決定する権利を持つからです。
たとえば、最初の IDEC は 2 日間しか続きませんでしたが、1997 年の大会は 14 日間続きました。

参加者のほとんどは、デモクラティックスクールの生徒です。1997年にイギリスのサンズスクール、2000年に東京、2005年にベルリンで開催されたIDECでは、参加者のほとんどが若者でした。
大会のスケジュールが長くなる場合は、旅行の手配、学校訪問、または、さまざまな社会的および文化的交流活動が行われます。

IDEC中のプログラムは、対話、スピーチ、ワークショップなどで、事前に決められている場合もありますが、ほとんどは大会開始後に参加者によって共同で計画されます。

IDECの意義を様々な観点から

IDECには、どんな意義があるのか。次のようなことも書かれています。

1,相互支援のフォーラム
IDEC は、共通の問題を支援的な雰囲気の中で議論し、他の人があなたの価値観に共感しようとするプラットフォームであると考える人もいます。

2,プロモーションのツール
IDECは、視点を変えたり、デモクラティック教育のコンセプトを広めるために一般の人々の注目を集めたりする機会であると考える人もいます。

3,学校のためのネットワーク
「相互支援は大きなエネルギーを生み出すことができる」と信じているため、学校が危機に陥ったときに、学校同士のつながりを形成し、支援するためのプラットフォームと考える人もいます。

4,知名度を高める手段
IDECは、ホストとなる学校が、母国で知名度を高める方法であると考える人もいます。

私たちにとって、IDEC は、年に一度の家族の集まりのようなものです。そこでは、エネルギーを充電し、新たな課題に立ち向かうための新たなエネルギーを得て、交流と共有を通じて新しい方法を学び、議論やブレーンストーミングを通じて問題の解決策を見つけ、この道で自分を見失わないように、初心を振り返り続ける機会でもあります。

デモクラティック教育、デモクラティックスクールとは

次に、デモクラティック教育、デモクラティックスクールについて書かれています。

【デモクラティックスクールの核となる精神と価値観】

1、確固たる基盤

その文化は、平等性と責任の共有という価値観に基づいています。
尊敬は、尊敬を生みます。
信頼は、信頼を生みます。
思いやりは、思いやりを生みます。
寛容は、寛容を生みます。
聞くことが、聞くことを生みます。

2,集団的意思決定

年齢や地位に関係なく、コミュニティのすべてのメンバーが、校則、カリキュラム、プログラム、職員の採用、さらには予算問題などの重要な決定において、平等に発言できるようにします。

3,自主的な発見

学習者は、何を、いつ、どのように、誰に学ぶかを選択できます。
学習は、教室の内外を問わず、遊びや通常の学習を通じて行われます。
重要なのは、学習が生徒の内発的動機に従い、興味を追求することです。

IDECのビジョン

IDECを通じて、各国は意見を交換し、合意を形成し、サポートネットワークを形成し、世界の平和と友好のために協力します。

1,この社会のすべての民族が、多数派であろうと少数民族であろうと、それぞれの文化を保持し、幸せに暮らし、お互いを尊重できるようにします。

2,生徒全員が自主的に考え、責任を持つことを学べるようにします。

3,すべての個人が真に完全になり、他人に左右されず、自分の運命を自分で決められるようにします。

4,それは、単に自分自身であるだけでなく、相互理解、配慮、気遣いをもって、共に生きる方法を知り、独立した個人になることです。

5,デモクラティック教育では、誰もが、どのように勉強するか、いつ勉強するか、何を勉強するか、どこで勉強するか、誰と一緒に勉強するかを決める権限を持ちます。
教師と生徒の関係は上と下ではありません。
仲間同士で競争することもなく、共有して一緒に学びます。

6,学校の集会を通じて、公共の問題について話し合い、自分自身、環境、社会に対して責任を持つことを学びます。

IDECの特色

すべての参加者は、年次大会の主催者でもあります。
相互尊重、オープンスペース、そして、柔軟な自立性。何をすべきか、どのような活動に参加すべきかについて、厳格な集団的規範はありません。
いつでもどこでも、ワークショップを始めて、みんなを招待して参加させることができます。
正解も不正解もなく、誰もが自分の考えを十分に表現することができます。
年齢、職業、言語、肌の色などに関係なく、本当に参加したい限り、全員が平等な権利を持っています。

イベントとアクティビティ

【公式イベント】

主催チームが計画する大会の期間は 2日間から15日間です。
主な活動は、複数のセッションが同時進行で開催されるワークショップで、参加者は自分の興味に応じて選択できます。
基調講演では、デモクラティック教育の実践者が、実際の事例や学術研究を共有します。

大会中は、どこでも・いつでも・だれとでも、教育・生活・個人の経験について、深く語り合うことができます。

参加者全員が、マーケットプレイスにブースを設置して、各国の特産品を共有したり、各学校や団体の教育理念を共有したり、販促資料を配布したりできます。

毎年の活動のテーマは、主催チームによって決定されます。

IDECナイトは、参加者なら誰でも、ステージ上でパフォーマンスやアクティビティ (ゲーム、合唱など)を披露することができる夜です。

年次大会には、IDECの広報意思決定メカニズムが含まれており、誰でも参加できます。この会議は、少なくとも 1 人(ただし、1人に限定されない)のモデレーターによって進行されます。モデレーターは、今後 3 年間の開催国の選定を含め、すべての問題を、合意と原理原則の精神に基づいて議論します。

​【交流のためのアクティビティ】

主催国の運営団体が準備する特別なアクティビティには、文化ツアー、学校訪問、教育セミナー/博覧会/講演会への参加、正式な外交ディナーイベントなどがあります。これらは毎年、主催者チームによって計画され、参加者は各自の希望に応じて選択できます。

詳しくは、IDEC2024in台湾の公式サイトを見てみてください。

IDEC 教育世界博覽會 | 臺灣覺德教育社群 TDEC

おわりに

以上、IDECとはどんな大会かを、IDEC2024in台湾の公式サイトからの直訳で解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?

そもそも、学校・教育の場には、多様な選択肢があり、世界中でそれはどんどん進んでいる。日本も、例外ではないと思います。

今いる場所がすべてじゃなくて、もっといろんな選択肢がある。それは、誰にでも選ぶことができる。
子どもにも、大人にも、そのことが伝わっていくといいな、と思っています。

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