韓国オルタナティブ教育の旅2013年5月③~全寮制のオルタナティブスクール・プルンクム高校

2013年5月の「韓国オルタナティブ教育の旅」・2日目です。
1泊させていただいた、茂朱(ムジュ)のジャンさんファミリーのお宅を出発しました。

そこからすぐ近くにあるオルタナティブスクール・「プルンクム高校」を訪問しました。

受験競争が激しくなる時代に、高校のオルタナティブスクールが登場

韓国では、1998年頃、全国的に、オルタナティブスクールを開くのがブームになったそうです。受験競争の激化で、高校は大学へ行くためのものとなっていく中で、その代替として、高校を中心に、オルタナティブスクールが登場してきたそうです。

プルンクム高校は、1999年に開校したので、今が14年目(2013年時点)。
廃校になった小学校を利用した、1学年40人・全校で120人の、全寮制の高校です。

元小学校の建物と、手作りの校舎が点在

プルンクム高校のメインの校舎は、廃校になった元小学校。
そのメイン校舎以外に、校内のあちこちに、先生と生徒で一緒に建てたという建物が点在していました。

校内で出会う生徒さんたちが、みんな、親しそうに挨拶してくるのが、印象的でした。

韓国では、オルタナティブスクールに国の補助がある

最初は、手作りの小さな学校からスタートしたそうですが、地域から歓迎され、市からもサポートがあって、国に認可された学校となって、今は補助金も出ているそうです。

韓国には、オルタナティブスクールをサポートする法律があり、認可されると補助金が出るそうです。認可されるには、4割は国が決めたカリキュラムを実施し、6割は学校独自のカリキュラムを実施する、ということが条件だそうです。

プルンクム高校は、環境と生態系をテーマとしているので、独自のカリキュラムには、例えば、自然にやさしい農業や建築、料理といった科目もあるそうです。

どんなスタイルの学校も、それぞれの役割がある

テラスで甘酒をいただきながら、学校の先生方と、こんなお話をしました。

・韓国におけるオルタナティブスクールは、全体から見ると1%の存在だけど、オルタナティブスクールがやっていることを見て、既存の学校が影響を受けている。

・ここの学校は、卒業生の約9割が大学へ。オルタナティブスクールの生徒は集中力があるので、大学に行きたいと思ったら、集中して勉強している。

・大切なのは、対話。子どもが解決できない問題があるときには、大人はちょっとしたアドバイスをするだけ。

・学生から提案があったときには、学校はほとんど受け入れている。大人が気をつけることは、主に安全面のこと。

・ホームスクーリング、オルタナティブスクール、普通の学校・・・ どんな場がいいのかは、子どもによってそれぞれ違うので、選んでいくしかない。それを一番わかっているのは、家族。完璧な場はないので、足りない部分を保護者が補っていくしかない。いろんな選択ができるようになったらいいと思う。

・ホームスクーリングの場合は、一般的に、本人の集中力や満足度は高いけれど、多様な人との交流をしていないことが多く、社会へ出て行くときの課題だと思う。弱い部分を補う必要があると思う。

・学校が大きくなって、安定してきたけれど、規模が小さい方ときの方が面白かった。

いろんな場、いろんな選択肢があるけれど、それぞれに違いがあり、役割があるということ。ここでの話の中で、そんなことが少し見えてきたように思いました。

新しい学校や先生の数は、まだまだ足りていない

プルンクム高校に限らず、オルタナティブな高校は、入学希望者が増えているのに対して、学校の数・先生の数は足りていないと言われていました。

「教育学部を卒業しても、教員になれずに待機している人が多いので、卒業後に、起業するような学生が増えたらいいと思う。新しい学校は、もっと必要とされているのだから」

最後に先生が言われたことばが、心に残りました。

日本でも、教員志望の人が、起業する・仕事を創ることを視野に入れたら、どんな可能性があるんだろう?

プルンクム高校、ちょっと寄り道のはずが、話しているうちに、2時間以上も長居していました(笑)

さて、次の目的地の霊安(ヨンアン)へ。約4時間のドライブです。

次の目的地へ向かう途中の、お昼ごはん。
食堂で、メインを1品頼むと、これだけおかず(キムチなど)がついてきます。しかも、おかずとごはんは、おかわり自由。

※2010~2017年に書いた前のブログから抜粋して、加筆修正したものを、投稿しています。

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