はじめに
2019年12月、この年3回目の釜山にやってきました。クリスマス前とあって、釜山駅前はライトアップ。
前回来たときは工事中になってましたが、今は、フェリー乗り場との間の連絡通路が完成して、通れるようになっていました。駅前が広場になっていて、路上ライブしている人も。
まだまだ、再開発の途中ということで、来るたびに景色が変わっている、釜山駅周辺です。
今年(2019年)5月に、「東アジア地球市民村」に参加したときに出会った
韓国のオルタナティブスクール・「クリエイティブスクール(旅の学校)」。
その学校の卒業発表会があるというので、
それを見に行くのが、今回の一番の目的でした。
韓国のオルタナティブ・スクール「クリエイティブ・スクール(旅の学校)」の卒業発表会
クリエイティブ・スクールのカリキュラムは、毎年、3月から12月まで。
1年ごとに学生の募集をしています。
入学する年齢には制限がないそうですが、
一番多いのは、10代後半くらいの若者だそうです。
最初に国内でトレーニングをしたあと、
世界中を旅しながら、やりたい活動を展開し、
しめくくりは12月の発表会。
この年は、12月25日のクリスマスが、発表会当日ということでした。
QDEC(九州デモクラティック教育コミュニティ)の仲間や、
オルタナティブスクールに関わるスタッフや学生、保護者
クリエイティブ・スクールと出会ったことのある人・・・
それぞれが誘い合わせていたら、総勢20人くらいになりました。
みんなそれぞれ、滞在の日程も違っており、現地集合です。
12月25日には、その20人が、発表会の会場に集まります。
10日前から1人で来てホームステイしてる10代もいれば、
3日間くらいの短い日程の人もいれば、
終わったあとゆっくり年末まで釜山で過ごすという人もいます。
(私は、少し前のりして、12月20日〜27日の日程でした。)
クリスマス前とあって、釜山駅前はライトアップ中。
半年前に来たときは、工事中でしたが、
今は、フェリー乗り場と釜山駅との間の連絡通路が完成して、
行き来できるようになっていました。
駅前の広場では、路上ライブしている人もいました。
釜山駅周辺は、まだまだ再開発の途中ということで、
来るたびに景色が変わっているようです。
冬至の日のパーティー
12月21日は、来るといつもお世話になっている、ジュンホさん家族のお家で、冬至のパーティーでした。
この日を境に、昼が夜より長くなる冬至は、
韓国では、お正月と同じくらい重要な節目。
大釜で炊いた、韓国の小豆粥をいただきました。
日本のぜんざいと違って、塩味で、お米も入っており、ボリュームたっぷり。
5月に東アジア地球市民村で一緒だった人たちに、何人も再開。
クリエイティブ・スクールの学生さんたちもいました。
ジュンホさんのお家では、ホールのような場所に薪ストーブとピアノがあって、まるでコミュニティスペースでした。
九州からの参加メンバーの1人・音楽家の平魚泳さんと
最初は笛とピアノで遊んでいたら、
周りから、フルートが入って、歌が入り・・・
その場にいた人たちが、即興で参加してきました。
気づいたら、周りにも人が集まってきています。
いつのまにか始まって、いつのまにか終わってました。
面白かった!このくらいの気軽さが、いいな。
漢方薬のような韓国伝統料理
冬至のパーティーのあと、その夜は、韓国伝統料理の先生のキッチンでの食事会に招待していただきました。
全て先生の手作り。料理はもちろん、お酒も、お茶も。見事な色どり!
韓国は、食べる野菜・薬草の種類が、多いのかも、と感じます。
漢方薬の原材料としてしか名前を聞いたことのないようなものも、食べているようでした。
お茶の種類もいっぱい。この日は、キンモクセイの花のお茶でした。
冬至のライブイベントと、日本のぜんざい
冬至の翌日、12月22日は、
コミュニティ・カフェ「イウム」でのイベント。
韓国の冬至は、塩味の小豆粥ですが、
この日は、日本のぜんざいを作ってみました。
韓国の人も、日本のぜんざいは好きなんだと言われていました。
この日は、韓国の音楽家・ヌンサさんと、日本の音楽家・平魚泳さんのライブでした。
すでに言葉の壁はなくて、みんなの顔が見えるアットホームな空間でした。
自給的な暮らしのコミュニティについて、インタビュー
翻訳アプリの助けを借りて、インタビュー
12月23日。
九州から釜山入りするメンバーも、徐々に増えてきました。
それぞれ、思い思いに過ごしています。
この日の朝は、友人と一緒に、自給的な暮らしのコミュニティを運営しているサンピョンさんにインタビュー。
サンピョンさんには、今まで何度かお会いしていますが、ゆっくりお話したことがなく、断片的なことしか知らなかったので、気になっていた全体像のお話を聞かせていただくことにしました。
といっても、日本語⇔韓国語の通訳ができる人はいないので、カタコト英語と、翻訳アプリです。
それでも、なんとなく通じ合えたので、翻訳アプリって優秀!
コミュニティのある場所は、釜山の北、ヤンサン市。
釜山市のベッドタウンとして都市開発が進む側面と、農村的な良さの残っている側面と、両面がある地域です。
教育と、自給的な暮らしの場・働く場がつながる
サンピョンさんから聞いたのは、次のようなお話でした。
■コミュニティの始まりは、オルタナティブスクールの保護者のつながりから。
教育をベースにおきながら、農場、カフェ、図書館などをはじめ、暮らしの場・働く場を創り出し、まだまだ進化している最中。
■韓国、そして、各国の共同体やエコビレッジなどの先進モデルに学び、もちろん日本にある先進モデルも参考にしている。
■全国版の雑誌の読者の会から、エコロジーの思想やこれからのビジョンを学んできた。
■大人向けの大学(講座)を開いている。
内容は、自給的な暮らしの講座や、オルタナティブスクールの教員養成など。
そこで学んだ人が、実践の場として、このコミュニティに移住してくるケースもある。
今までは断片的に聞いていたお話でしたが、やっとつながりました。
韓国にも日本にも、何か、共通する大きな流れのようなものがあるなあ、とも思いました。
お昼は、ローカルな市場で、一緒にお刺身をいただきました。
韓国の生産者直売の市場
韓国では、「○のつく日には、どこどこで市が開かれる」というのが多いと聞きました。
2と7のつく日とか、4と9のつく日とか。
生産者が直接来て、それぞれお店を開いているそうです。
豆とか穀物のお店がいっぱい。
日にちを変えて、場所を変えて、行ってみると面白い。
海産物とか。豆を炒って売ってたり。
季節柄、リンゴをよく売っていました。新鮮でおいしかった!
韓国のアーティストに、芸術教育の話を聞く
偶然の出会いが重なって・・・
12月24日。
教育哲学者でアーティストのスギョンさんと、その仲間の皆さんにお会いして、スギョンさんたちの芸術教育の取り組みについて、お話を聞かせていただく機会がありました。
音楽家の平魚泳さんが、以前お会いしたことあるからと、連絡をとってくれたからです。
一緒に聞きたいというメンバーで合流しましたが、
私たちの誰も、韓国語はほとんど話せない・・・。
そんなとき、数人のメンバーが地下鉄で移動しているときに、
たまたま出会った方が、「通訳しましょうか」と言ってくださったそうです。
その方がついて来てくださって、本当に通訳してくださいました。
なんてありがたい!そんなことって、あるんですね。
(その通訳してくださった方とは、その後SNSでつながりました)
公教育とオルタナティブ教育が、近づいている
通訳さんを介しながら、
その場にいらしたアーティストさんたちから、次のようなお話を聞きました。
韓国では、様々な専門分野のアーティストが、チームになって、
国の助成金で教育のプロジェクトをやっている。
子どもから高齢者まで、
上手くなることを目的にではなく、コミュニケーションの手段として、
みんが一緒にできることを目指してやっている。
公教育も、今の方向性は、
総合的に子どもたちがやりたいことをやれる方向に変わってきている。
韓国では、不登校の子どもが60人に1人いると言われるが、
スクールカウンセラーが相談にのって、
学校に戻るのがいいか、オルタナティブな学校がいいか、
ホームスクーリングなどの別の方向がいいか、といったことを、
一緒に考えることが一般的になってきていること。
また、オルタナティブスクールやホームスクーリングといった公教育以外の選択肢を、
多くの人が好意的にとらえている。
日本と韓国の共通点を感じるような、そんなお話でした。
続きは次の記事へ
以上、2019年12月に行った、韓国・釜山オルタナティブ教育を訪ねる旅の前半の話でした。
次の記事では、「クリエイティブ・スクール」の卒業発表会について書きます。
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